戦前に死亡した父の兄名義の不動産を時効取得した事案

事案の概要

依頼者は70代後半の男性

亡き父が建て、自身が生まれ育った建物に現在居住しているが、当該建物の底地が戦前に死亡した父の兄名義のままとなっているので、自身の名義としておきたいとのご相談。

解決方法

生存している父の兄の相続人の方々に連絡し、時効取得の意向をお伝えし、交渉を行いました。

最終的に、ご存命のすべての相続人の方々から時効取得することができ、底地の名義が依頼者の名義へと変更されました。

コメント

被相続人の死亡後も、50年以上の超長期にわたって、相続登記がなされていなかった土地についての解決事例です。

こうした事案についてのご相談は多々ございますが、「ずっと住んでいた」からといって時効取得ができるなどと一概に判断できるものでもなく、判例・裁判例や時系列等を含めた綿密な調査が必要となります。

土地の時効取得が問題となる場合、万一時効取得が認められない場合、土地上の建物を収去して土地を明け渡さなければならない事態に発展しかねませんので、慎重な検討のもと進める必要がございます。

また、被相続人の死亡後、長期間が経過している場合、相続人が多数にわたり、親戚付き合いがない場合も多く、合意形成も難しくなる傾向にあり、シビアな交渉が必要となる場合が多いといえます。

しかも、今般、相続人が高齢の場合、認知症である場合なども想定され、そのような場合には、成年後見等申立等の法的手続の必要も生じかねません。

以上のように、多岐にわたる法的問題をひとつひとつ解決してゆく必要がございますので、まずは不動産について造詣の深い弁護士にご相談頂くべきものと存じます。