駐車場での事故で、裁判においてゼロ過失が認められた事案

事案の概要

※以下、依頼者のご承諾を得てプライバシーに配慮の上掲載しております。

コンビニエンスストアの駐車場において、バックで駐車しようとしていた原告(当方)車両に、原告車両の存在に気付かず発進した被告(相手方)の車両が接触。

当方が無過失(過失割合0:100)を主張したのに対し、相手方が2割程度の当方の過失を主張して示談不成立。

一審の簡易裁判所において原告側の主張が全面的に認められたため、被告側が地方裁判所に控訴。

原告側(当方)の主張

被告は、駐車区画から被告車両を後退させるにあたり、後方を注視し、駐車行動を取っている他の車両があるときはその駐車を妨げないようにするべき注意義務があったにもかかわらず、これを怠り、後方を全く確認せず、原告車両の存在を認識しないままハンドルを切りながら後退発進させたことにより、被告車両を原告車両に衝突させた。


そして、原告は、被告車両が発進しないことを確認した上で原告車両を後退させ、ハンドルを戻してあと数メートル真っ直ぐに後退すれば駐車行動を完了するという状況のもとで、急に左に転回しながら後退発進した被告車両に衝突されたのであるから、原告には本件事故の予見可能性も回避可能性もなく、本件事故は被告の一方的な過失によるものである。

被告側(相手方)の主張

被告は、原告車両と衝突するまで原告車両の存在に気付いていなかった。

他方で、原告車両が侵入する駐車区画の隣の駐車区画には被告車両が駐車していたのであるから、原告においても、被告車両が退出する可能性があることを予見すべきであった。

よって、原告にも一定の過失がある。

裁判所の判断

ほぼ当方(原告側)の主張を認める。

コメント

交渉段階から、相手方保険会社は、「双方動いている中での接触なのだから双方過失あり」という「駐車場ドグマ」のようなものに固執しているように見えました。

この「駐車場ドグマ」というべき理屈はある程度正しい部分もあるのですが、本件には当てはまらず、第一審、控訴審ともに当方の無過失の主張が認められましたので、駐車場事故に関するレアケースとしてここに掲載することといたしました。